新境地

 

 


考えることにおいて、自分の範疇を超えることって不可能だよね。自分が自分以外のものになることができないから。だから他人の思考や創造物は怖いくらいに刺激的。自分がいろんな小説を読みたくなる理由を考えたときにそう思った。小説ってすごい。何もないまっさらなところから、言葉だけを使った新しい世界がつくりだされている。無のところから無限が生まれる。文字をとらえて、文章を読んで、そうすると頭の中に見たことのない景色が広がって、会ったことのないひとたちの顔が浮かんできて、聞いたことのない声で話し始める。それは確実にわたしの知らなかった世界で、わたしの範疇を超える境地で、新しいものや刺激的なものに満ち溢れている。感情を揺さぶられ続ける。小説って嗜好品だよね。読まなくても生きていけるから。それでも、それを読んだ人にしか見えない世界が存在して、少なからず現実に影響を与える。気に入った小説を読み終えた翌日、現実が纏う空気が少しだけ違うような気さえしてくることだってある。人生は一度きりなので、せっかくならそういう気持ちをできるだけたくさん味わいたい。ので。よっしゃ今日も読むぞ!