今日の悲劇
今日の午後、美容院へ行った。通い始めて約1年。担当の美容師さんとは偶然中学校での繋がりがあり、縁を感じたのと美容院そのものの雰囲気が好きという理由で通っている。
今日の予定はカットカラーと、梅雨が近づいているので部分的にストレートをかけてもらうこと。いつもどおりホットペッパーではなくて個人的にラインをして予約をとった。
ようやく慣れてきた美容院と美容師さんなので、気兼ねなく話せる。今日もいろんなことを一方的にしゃべるわたしの話を、美容師さんは相槌を打ったり笑ったりしながら聞いてくれていた。そうこうしているうちにカットが終わった。前髪は前より薄めで短くしてもらった。クセが出やすくなるけど、ストレートかけるから問題ない。
さて、ここから雲行きが怪しくなる。
カットが終わった美容師さんから「カラーはどんな感じにします?」と聞かれ、「ベージュ系で明るさは同じくらいでお願いします」と言った。
「じゃあカラー剤作ってくるからちょっと待っててね」
あれ?ストレートは?
カラーのあと?なわけないよね?
カラーのあとにストレートなんて、もしやったとしたらとんでもなく色落ちする。のでそれはないはず。とは思いつつも私はプロではないので真偽は分からない。もしかしたらカラー→ストレートの順番もありえるのかもしれない。
それなのに、「ストレートもお願いしたと思うんですけど」なんて言えない。だってもしかしたらカラーのあとかもしれないじゃん!もしそうならなんだコイツってなるじゃん!
なんて悶々としながら、結局何も言えないままカラーの工程が始まってしまった。
普通(?)ならカラーって塗り終えたら放置すると思うんだけど、私の担当の人は心配性らしくてずーっとぬりぬりしてる。(って本人が言っていた)
その間も募る私の不安を無視して時間は流れていく。
「もう良さそうだから流すね」と、美容師さん。シャンプーでカラー剤を流し終え、ドライヤーで乾かしてもらう。
そのとき美容師さんが言った。
「このあと予定ある?セットもする?」
私は知っている。これは終わりの合図だと。
セットしてからストレートかけるなんてさすがにそんなことはありえない。
薄々勘づいてはいたけど、ここで確信した。ああ、今日わたしがストレートもしたいって連絡したのはなかったことになっている。
一瞬放心状態になった私をちょっとだけ不思議そうに見ていた美容師さん。ドライヤーの音で聞こえなかったと思ったのか、「セットはどうする?」ともう一度聞いてきたので、「帰るだけなのでいいです」と言った。
わたしは諦めた。
だって、わたしは今日カットとカラーだけをしに来たと思われている。向こうの見落としだとはいえ、わたしへの施術時間はカットカラーの時間分しかない。今更ストレートの話を打ち明けたところで、このあとのお客さんの予定が押してしまうし、何よりカラーをしてしまっているのでどのみち今日はもうストレートはできないに違いない。いや、それより何より、そのことを指摘して謝られたくない。
最後に美容師さんは言った。
「もしあれだったらまたストレートとかかけてもよさそうだね!」って。
………ハイ。そうですね。考えときます。
笑顔で返しました。